【完レウシテ璧ヲ而帰ル:璧を完うして帰る:へきをまっとうしてかえる】
《十八史略:じゅうはっしりゃく》
②全く欠点のないこと。
《訓》 訓読文(返り点・送り仮名・句読点など) ※返り点送り仮名 ※置き字
《書》 書き下し文(歴史的仮名遣い)
《仮》 読み方・現代仮名遣い(ひらがな)
《訓》 趙ノ恵文王嘗テ得ニタリ楚ノ和氏ノ璧一ヲ。
《書》 趙の恵文王嘗て楚の和氏の璧を得たり。
《仮》 ちょうの けいぶんおう かつて その かしの へきを えたり。
《訓》 秦ノ昭王請下フ以ニツテ十五城一ヲ易上レヘンコトヲ之ニ。
《書》 秦の昭王十五城を以つて之に易へんことを請ふ。
《仮》 しんの しょうおう じゅうごじょうを もって これに かえん ことを こう。
《訓》 欲レスレバ不レザラント与ヘ、畏ニレ秦ノ強一キヲ、欲レスレバ与ヘント、恐レル見レルヲ欺カ。
《書》 与へざらんと欲すれば、秦の強きを畏れ、与へんと欲すれば、欺かるるを恐る。
《仮》 あたえざらんと ほっすれば、 しんの つよきを おそれ、 あたえんと ほっすれば、 あざむかるるを おそる。
《訓》 藺相如願ニフ奉レジテ璧ヲ往一カンコトヲ。
《書》 藺相如璧を奉じて往かんことを願ふ。
《仮》 りんしょうじょ へきを ほうじて ゆかん ことを ねがう。
※《藺相如曰ハク、「願ハクハ奉レジテ璧ヲ往カン。:藺相如曰はく、 「願はくは璧を奉じて往かん。:訳=藺相如が言った、「どうか(秦への使者として)璧をささげ持って行かせてください。 》
《訓》 「城不レンバ入ラ、則チ臣請フ完レクシテ璧ヲ而帰ラント。」 ※曰、「城不入、則臣請完璧而帰。」
《書》 「城入らずんば、則ち臣請ふ壁を完うして帰らん。」と。
《仮》 「しろ いらずんば、 すなわち しん こう へきを まっとうして かえらん。」と。
※《「城入らずんば、 → 曰はく、「城入らずんば、~:訳=(藺相如が)言うことには、「もし~」》
《訓》 既ニシテ至ル。秦王無レシ意レ償レフニ城ヲ。
《書》 既にして至る。秦王城を償ふに意無し。
《仮》 すでにして いたる。 しんおう しろを つぐなうに い なし。
《訓》 相如乃チ紿キテ取レル璧ヲ。
《書》 相如乃ち紿きて璧を取る。
《仮》 しょうじょ すなわち あざむきて へきを とる。
《訓》 怒髪指レス冠ヲ。
《書》 怒髪冠を指す。
《仮》 どはつ かんを さす。
《訓》 卻ニ-立シテ柱下一ニ曰ハク、「臣ガ頭ハ与レ璧倶ニ砕ケント。」
《書》 柱下に卻立して曰はく、「臣が頭は璧と倶に砕けん。」と。
《仮》 ちゅうかに きゃくりつして いわく、 「しんが こうべは へきと ともに くだけん。」と。
《訓》 遣ニメ従者ヲシテ懐レキテ璧ヲ間行シテ先ヅ帰一ラ、身ハ待ニツ命ヲ於秦一ニ。
《書》 従者をして壁を懐きて間行して先づ帰らしめ、身は命を秦に待つ。
《仮》 じゅうしゃをして へきを いだきて かんこうして まず かえらしめ、 みは めいを しんに まつ。
《訓》 秦ノ昭王賢トシテ而帰レラシム之ヲ。
《書》 秦の昭王賢として之を帰らしむ。
《仮》 しんの しょうおう けんとして これを かえらしむ。
※「その璧には疵(きず)がありますからお教えしましょう。」と嘘を言って取り返した。
・例:未レダ知ラ。(未だ知らず。)
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FAQs
壁をまつたうすの読み方は? ›
「完璧(かんぺき)」は、今では「完全な璧(たま)(=宝玉)」という読み方をしているが、元来は、「完」は動詞で、「璧(へき)を完(まっと)うす」と読むのが正しい。
璧を完うして帰るの読み方は? ›城入らずんば、則ち臣請ふ璧を完(まっと)うして帰らん。」
漢文完璧而帰の読み方は? ›曰 い はく、「 城 しろ 入 い らずんば、 則 すなわ ち 臣 しん 請 こ ふ、 璧 へき を 完 まっと うして 帰 かえ らん。」
璧を完うすの意味は? ›1:きずのない玉をいう。 転じて欠点がなくてすぐれてよいこと。 2:璧(たま)を完(まっと)うする。 秦(しん)の昭王が欲しがって、十五城と交換しようと強制した。
完璧 なぜ壁? ›「璧」とは玉(たま)のことで、「完璧」とは傷のない完全な宝玉を意味する。 そこから、欠点や不足がまったくなく、立派なこと、完全なことを表すようになった。
完うすの意味は? ›まっとうする。 最後まで成し遂げる。 完全に保ち続ける。 [訳] 長い間なおらなかった病気が急になおって、天寿をまっとうする。
珠何と読む? ›部首 | 玉 王(たま・たまへん・おう・おうへん) |
---|---|
漢検級 | 準2級 |
音読み | シュ |
訓読み | たま |
意味 | たま。貝類の中にできる丸い玉。真珠。 |
『而』は、音読みでは「じ・なんじ」と読みます。
完璧 なぜ? ›藺相如(りんしょうじょ)が秦の国へ使いに行ったが、城と交換する気配がなかったため、藺相如は璧を命懸けで持ち帰った。 その故事を「完璧而帰(璧をまっとうして帰る)」といい、大事なことを成し遂げることや、欠点が全くないさまを「完璧」と表すようになった。
完璧帰趙のあらすじは? ›古代中国の戦国時代、和氏の璧という宝石を持っていた趙の恵文王は、秦の昭王から十五の城市と交換するように要求され、藺相如が和氏の璧を届けに行ったが、道中で交換ではなく奪うつもりだと気づき、一度秦の昭王に奪われた後に、上手く言いくるめて取り返して趙の国に持ち帰ったという故事から。
完壁 完璧 どっち? ›
よくあるミスは、「完壁」というもの。
「かんぺき」の正しい書き方は、「完璧」でした。 「璧」の字をよく見てみましょう。 壁(かべ)という字は下の部分が「土」ですが、完璧の「璧」はここが「玉」になっています。 この文字には「玉のように立派なもの」という意味があるのだとか。
『完璧』と書くのが正式 かんぺきとは『欠点がまったくないこと。
完璧趙の読み方は? ›『完璧帰趙』の読み方と意味
完璧帰趙は、【かんぺき きちょう】と読みます。 預かった大切なものを傷ひとつ付けずに返すこと。
「璧」は玉のことで、璧を全うする(完全に守る)こと、転じて、少しのきずもない玉、完全無欠なものをいい、さらに、人から借りた物を返すこと、だいじな物を取り返すことをもいう。 中国戦国時代、趙(ちょう)の恵王が所有する名玉「和氏(かし)の璧(たま)」を秦(しん)の昭王が欲しがり、15の城との交換を強要した。
完璧の本来の意味と現在の意味は? ›完璧の「璧(へき)」は、平らで中央に孔のあいた宝玉のことで、完璧は「傷のない玉」が本来の意味である。 完璧が現在使われる意味となったのは、中国の故事に由来する。
完璧はなぜ玉? ›ところが、『完璧』の『璧』は下の部分が『玉』になっています。 この『璧』という字は元々、“平らで、真ん中の部分に穴が開いた貴重な玉、宝石”のことで、『完璧』とは“傷のない玉”が本来の意味だそうです。
𥓙の意味は? ›薄い。 程度が少ない。 何となくその感じがする。
完の言い換えは? ›- フィニッシュ
- フィナーレ
- 終幕
- フイナレ
- エピローグ
- 終曲
- 大切り
- 大団円
『碧』の字には少なくとも、 碧 ヘキ ・ 碧 ヒャク ・ 碧 みどり ・ 碧 あお の4種の読み方が存在する。
脅 部首 どこ? ›脅とは、おびやかす/おどす/おどかすなどの意味をもつ漢字。 10画の画数をもち、肉部に分類される。
玄は何画? ›
玄とは、赤または黄を含んだ黒/暗い天の色などの意味をもつ漢字。 5画の画数をもち、玄部に分類される。 日本では常用漢字に定められており、中学校在学中レベルの漢字とされる。
璃 なんて読む? ›有珠山(うすざん)は、北海道・洞爺湖の南に位置する標高737mの活火山。 常時観測火山。 山頂は有珠郡壮瞥町にあり、山体は虻田郡洞爺湖町、伊達市にまたがっている。
おじゅつの漢字は? ›「数珠」が正解です。
「犇く」と書いて何と読む? ›「牛」が3つ集まっている「犇く」というこちらの漢字。 なんて読むか分かりますか? 実はこれ「ひしめく」と読むことができます…! ひしめくとは「ぎしぎしと音がすること」「たくさんのものがひとつの場所に集まっている様子」を表しています。
而の部首名は? ›...
「而」の画数・部首・書き順・読み方・意味まとめ
日本語の書き下し文にするときは、その意味に対応する送り仮名を前後の文字に付けて反映する。 訓読で読まない漢字が出てくるのは、前後の漢字の送り仮名にその意味が反映されていたり(而・于・於・乎など)、その漢字に対応するちょうどよい日本語がなかったり(焉、矣、兮など)するからである。
完璧主義者で何が悪い? ›完璧主義な方は自意識過剰になりすぎるため、他人に良い評価をされることを第一の目的としがちです。 そのため、他人の評価を気にするあまり物事の本質や自分の目標や意見を見失ったりすることもあるでしょう。 自意識過剰は、常に神経を周りに向けているのでストレスの原因になります。
完璧のことわざは? ›じゅうぜんじゅうび【十全十美】
まったく欠点がなく、完全であること。 すべてがそろっていること。 「十全」は、少しの欠点もないこと。 「十美」は、完璧かんぺきなこと。
「完璧」の故事 完璧の由来となった物語の時代は中国の戦国時代です。 中国の戦国時代と言えば紀元前403年から紀元前221年まで。
完璧帰趙の読み方は? ›
「完璧帰趙」(かんぺききちょう)の意味
璧の部首は? ›『易』の字には少なくとも、 易 ヤク ・ 易 ジ ・ 易 シ ・ 易 エキ ・ 易 イ ・ 易い やすい ・ 易しい やさしい ・ 易わる かわる ・ 易える かえる ・ 易る あなどる の10種の読み方が存在する。
完璧帰趙のあらすじは? ›『完璧帰趙』のあらすじ
中国の戦国時代、絶対的な力を持っていた秦の昭王が、「和氏の璧」という宝石を持っていた趙の恵文王に、十五の城塞都市と交換するよう要求します。 要求を呑まなければ秦の怒りを買い、侵略の口実を与えることになります。
よくあるミスは、「完壁」というもの。
「かんぺき」の正しい書き方は、「完璧」でした。 「璧」の字をよく見てみましょう。 壁(かべ)という字は下の部分が「土」ですが、完璧の「璧」はここが「玉」になっています。 この文字には「玉のように立派なもの」という意味があるのだとか。
『碧』の字には少なくとも、 碧 ヘキ ・ 碧 ヒャク ・ 碧 みどり ・ 碧 あお の4種の読み方が存在する。
脅 部首 どこ? ›脅とは、おびやかす/おどす/おどかすなどの意味をもつ漢字。 10画の画数をもち、肉部に分類される。
率は何画? ›率とは、ひきいる/手引きする/導く/引き連れるなどの意味をもつ漢字。 11画の画数をもち、玄部に分類される。 日本では教育漢字、常用漢字に定められており、小学校5年生修了レベルの漢字とされる。
今に口で何と読む? ›『含』の字には少なくとも、 含 ゴン ・ 含 ガン ・ 含 カン ・ 含める ふくめる ・ 含む ふくむ の5種の読み方が存在する。
易怒性なんて読む? ›この症状が現れる主な病気 14件
医学的には、ささいなことで不機嫌になることを「易刺激性(いしげきせい)」、怒りっぽいことを「易怒性(いどせい)」といいます。